先進国の中で日本だけが『個人通報制度』に批准してない!

「国連に個人が権利の救済を申し立てることができる制度」があることをご存知でしょうか?  

  それを「個人通報制度」と言います。

 「個人通報制度」とは、国際人権規約で認められた権利を侵害された個人が、自分の国内において利用できる救済措置を尽くした後(例えば裁判で最高裁まで争った後など)であれば誰でも、国連の機関に直接、あるいは弁護士などの第三者を通じて人権侵害の救済を求めることができる制度です。 

 その通報は国連の機関で受理され、審議された後、通報に対する見解が出されます。見解に拘束力はありませんが、国際・国内の世論を高めることで人権の救済・是正が図られる可能性があります。

  日本に住む私達もこの制度を利用できるのでしょうか? 

  実は、「できない」のです。なぜなら、この条約に日本政府が批准[ひじゅん:条約に対する国家の最終的な確認、確定的な同意(の手続き)。]していないためです。


 詳しくはアムネスティのサイトもご参照ください。

http://www.amnesty.or.jp/human-rights/topic/ihrl/report_system.html


  国際人権規約を批准した165カ国中113カ国、OECD加盟国、G8加盟国の中では、日本以外すべて批准しているにも関わらず、です。

(ブログ「弁護士の机の上」より: http://doihouritu.blog.so-net.ne.jp/2010-01-27


  そもそも「個人通報制度」は必要なのでしょうか?  国内の司法判断に海外から介入されることへの危惧を懸念する声もあります。もちろん日本の司法が人権を尊重し、行政や立法の暴走や個人への権利侵害に対し、ブレーキをかける三権分立の機能が正しく働いていれば、必要ないのかもしれません。

  しかし、当サイトでご紹介しているように、えん罪で何十年にも渡り苦しむ人を多く生み出しているなど、わが国の刑事訴訟における問題が改善される見込みは、現状ではほとんどありません。

  市民が行政のやり方に異を唱えることのできる裁判制度である「行政訴訟」では、行政側に優位の判決ばかりが出され、やるだけ無駄との認識が広がっています。そのため日本では、行政訴訟が諸外国に比べ圧倒的に少ない件数となっています。

  憲法解釈について争う憲法訴訟もほとんど却下されるなど、日本の司法はまともに機能していないと言えるのです。

  もしあなたやあなたの家族、あなたの住む地域の住民の人権がある日突然、侵害される日が来たとして、頼みの綱の裁判所がまともに取り合ってくれないとしたらどうでしょうか?

 私たちの生命や尊厳を守るためには「個人通報制度」が必要ではないでしょうか?

 <未来につながる健全な司法を求めるフォーラム>では、この「個人通報制度」が、日本でも利用できるよう提言し賛同者を呼びかけています。


 *「個人通報制度」が利用できるように日本政府に選択議定書への批准を求める運動は、上記アムネスティだけでなく日本弁護士連合会や各地の弁護士会でも広く呼びかけを行っています。そちらもご参照ください。 

 日本弁護士連合会のリーフレットサイト http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/jiyuken_kiyaku.pdf#search='日弁連+国際人権法+個人通報制度' 

 日本弁護士連合会の国際人権活動のサイト http://www.nichibenren.or.jp/activity/international/human_rights.html